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ゴーストの破片:暗黒3
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粉砕のトーランドの日誌より


真実を説明しようとして、正気の限界まで自分を追い詰める。


実にシンプルだ。ナイフの先端のように美しい。全く誇張してはいない。大げさとは正反対。「何もかも」説明がつく。


だが、それを他の者に説明しても、塵でも吐き出したのかのような目でこちらを見てくる。真実を理解するための土台となる何かが欠けているのだろうか。もしかすると、皆、燃やし尽くさねばならない嘘の山の上に横たわっているのか。


有機物でも無機物でも、何故存在するのだろうか。


いや、だめだ。その言葉を求めてはいけない。「理由」などない。それでは目的論になる。そして、目的論は目を眩ませてしまう。


何故原子が存在するのか?それは原始液よりも原子物質の方が安定しているからだ。原子は液を打ち負かした。これが最初の戦争だった。進むべき道が2つあり、そのうちの1つが勝利した。そしてその後、全て原子によって形作られた。


原子は星を作り、星は銀河を作った。世界は岩と酸へと煮詰まり、煙の噴き出す原始の海では、最初の生きた分子が自己を複製する術を覚えた。これらは全て、意識も意味もなく存在する1つの法則によって起こったことだ。最もシンプルな法則であるが、それを崇拝する者はここにはいない(だが外には、そう、外には...!)。


どうやって説明すれば良いだろう。こんなにもシンプルなのに。何故分からない?


3人の偉大な女王によって統治された3つの偉大な国を想像してみてほしい。1人目の女王は偉大なる法典を記し、彼女の統治は正当なものだ。2人目の女王は高い塔を建設し、民が星々を眺めるためにこの塔を登る。3人目の女王は軍力を使って全てを制圧する。


未来はこの3人の女王のうち、1人のものとなる。彼女の統治は最も厳しく、民はみじめな思いをする。それでも彼女が統治者となる。


これで何もかも説明がつく。だから宇宙は他の形ではなく、今の形になった。存在は誰もが参加するゲームであり、一部の戦略能力が勝者となる。存在する能力、存在を形作る能力、分子であれ星であれ人であれ考えであれ、子孫として残すものが繁栄し、他のものが成長できる場所を失うように存在を作り変える能力。


そして宇宙が終わりに向かって進み続けている中で、偉大なる参加者達が互いに対立する。次のラウンドでは3人の女王がいて、3人とも軍隊を持っている。今のところは剣での戦いだが、そのうち誰かが大砲や疫病、死の呪いを発明するだろう。


何もかも慈悲という心を忘れていき、最後には最も無慈悲な者だけが残る(空を見上げてみろ)。そして彼らは夜の領土を狩り、脅威と思ったものは全て潰していく。潰される相手は、何と戦っているのか、何故戦わなくてはいけないのか理解する暇も与えられない。これが勝利の形だ。己が生かした者以外、何も存在しないように宇宙を絶対的に支配することが。これが時の終わりに立つ女王だ。誰も楯突ける者がいないから、彼女の統治は永遠に続く。理由も、原子の勝利に理由がなかったように、この女王の勝利にも理由は存在しない。ただ勝利へ導く戦略があったというだけだ。


もちろん、別の女王が治める別の国があって、そこでは女王達が協議し、1つの法、1つの塔、全ての国境を守る1つの軍隊を作ったということもあったかもしれない。これは小さき心の夢であり、槍に囲まれた優しい場所だ。


だがその槍では、軍隊の国の女王に立ち向かえるとは思えない。結局、戻ってくるのはそこなのだ。



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