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ゴーストの破片:フォールン
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ケイド6の追憶
分かった、分かった。あのフォールンの話をしてやるから。
実際はそうじゃなかった。こっちからは何もしなかった。握手することも、嫌悪と尊敬が混じった視線を交わすこともなかった。正直、どの手を握れば良いのか分からない。そもそも握手なんて習慣があるのか?あるなら複雑だろうな。
とにかく事の顛末はこうだ。俺は月にいた。神殿を探して、雨の海の近くにあるハイヴの建物に侵入したんだ。そして、連中が押し寄せてきた。大量のスロールが柱の間から次々と現れた。その柱だと思っていたものも実はナイトだった。さらに、その後ろから異様な影が立ち上がり、呪文を唱えるような声が聞こえた。
俺はもちろん逃げた。
逃げ道はスロールだらけだったが、別のルートもちゃんと考えていた。坂を登り、墜落したフェートンの後ろに身を隠した。マシンガンの弾薬が尽きるまで撃ちまくり、リロードしようと屈んだ時、船体の向こうでスロールを倒している彼女の姿を見た。エグザイルの色を身に着け、付けていた旗は裂けてハイヴの灰が染みついていたが、バロンの記章を付けていた。彼女は独りで戦っていた。おそらく仲間を失った後だったのだろう。
俺も彼女もお互いにかまっている暇は無かったから、ハイヴの掃除をそのまま続けていた。俺は次第にナイトどもに開けた場所へと追い込まれ、古い干渉計測アレイ施設裏の石の高台まで戻る羽目になった。そこがなかなか有利な地形だったから彼女もそこにやってきた。
俺達はしばらく黙々と敵を倒していた。この部分はあんまり面白くないから省こう。
最終的にはウィザードどもがやって来た。俺は奴らを狙い撃つためにアレイに登った。彼女はアンテナの付け根まで退いたが、ナイトとの戦闘で剣を折ってしまった。その様子を見て俺が何を感じたか、上手く説明できるかどうか、、、彼女は、俺と同じ状況を必死に生き延びようとしている戦士で、俺に咆えることも、俺のゴーストを食らおうとすることもしなかった。ナイトが倒れた時、俺は思わず歓声を上げた。
俺が弾を切らした状態で降りた時、彼女は隔壁にもたれかかり、その小さな黒い目で俺をじっと見つめた。その体からはエーテルが煙のように漏れていた。ナイトもただでは死ななかったらしい。下の方では、最後のウィザードがスロールの群れの後ろで炎のように迫ってきていた。
俺は彼女を見て、一体どれだけの罪のない人間の命をその折れた刃で奪ってきたのかと考えた。
その時、彼女は驚くような行動を取った。自分の弾帯から最後のショックピストルを取り出し、自分と俺の間に投げた。まるで差し出すかのように。そして俺がそれを拾いに行くと、彼女は俺をナイフで襲ってきたが、その動きは遅かった。腕を折り、致命傷を負わせた時、彼女は特に驚いた様子を見せなかった。
未だに彼女は俺が憎かったのか、俺の手で終わりにして欲しかったのか、それとも俺がその選択に迷わないようにしただけなのか分からない。
その後、その銃でスロールを数匹倒してやった。



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